私は10歳から24歳まで、埼玉県内の団地に住んでいました。それまでは小さな平屋建ての借家に住んでいたため、初めて住む団地はずいぶん近代的だとびっくりしたのを覚えています。
足音よりも困ったのは?
平屋建てに住んでいたせいか、頭の上から物音が聞こえてくることはなく、団地に住んで初めて自分の頭の上をノシノシと歩かれる経験をしました。最初は嫌でしたが、人間どんなことも毎日続くと慣れるようで、2~3年のうちにはそれが当然になってしまいました。
しかし、慣れや思いやりではどうしようもないことがありました。それが水漏れです。当時、私が住んでいた団地には洗濯機の排水口というものがなく、洗濯するときは必ず排水ホースを風呂場に伸ばして、排水を流すようにしていました。
それを忘れてすすぎをしていると、排水として流れるはずの水がすべて溢れて床を濡らしてしまいます。そうして、床を濡らした水は階下へと流れていくことになります。流れる水の量は雨漏りなどと比べると多量になりますから、私はよく母から絶対にホースを風呂場に入れるのを忘れるな、と注意をされていたくらいです。
洗濯をしたら大損害
ところがこれを忘れる人が以外に多かったらしく、何度か私は家の中が濡れているのを経験しました。一度などは学校から帰って来て玄関に入ると、家の天井から水がザアザアと音を立てて流れているのを目にしたことがあります。
家には私しかおらず、とても拭ききれる水の量ではなかったため、当時中学生の私は途方に暮れて、しばらく玄関で立ち尽くしていたのです。
これは最上階(5階)の人が洗濯機の排水のことを忘れて、水漏れを起こしてしまったのでした。最上階だったため、壁紙などの張替え(団地で壁紙が濡れてしまうと、かなりの確立でカビが生えて真っ黒になります。カビが生えなくてもふやけてボコボコに膨らみます)、水に濡れて壊れた家電の補償、そしてお詫びの品の手配などが大変だったということです。
団地に住む前、母は火事を起こしたら、すぐに延焼してしまうから、十分に注意しようと思ったそうですが、まさか水もこんなに被害を与えるようになるとは考えてもいなかったようです。
母も1度やらかしたことがあるそうですが、幸いにも我が家は2階に住んでいたため、謝る先は1件で済みましたし、水の量が少なかったため、壁紙の張替えも大したことがなかったようです。
今はもう平気なのかな?
実家の団地以外では洗濯機の排水ホースは予め排水口に固定されていて、私は実家以外では洗濯機の排水を気にしたことがありません。いや、最後に実家の洗濯機で洗濯した時は、我が家と同じでホースは固定されていたように思います。
最初から洗濯機には専用の排水口を用意してくれていたら、あんな大騒ぎはしなくても済んだのに、と思います。しかし、大量の水を使うのは洗濯だけではありません。食器洗いだって、何かの拍子に水漏れにつながるかもしれません。
集合住宅では音だけでなく、水にも十分な注意が必要なようです。